244 名前:nanasi 投稿日:2001/03/11(日) 15:52
大学生のAは人をからかうのが好きで、
例えばレストランに仲間4人で入り、
店員が「4名様ですね~」と言うとAは「良く見ろよ、5人だろ~!」
と言って脅かすのだ。

けっこうしつこくやるので、
Aには本当に何か見えるんじゃないかと思うけれど、
Aは人の反応を見て「うそだよー」とゲラゲラ笑う。
まわりの友達もなんども注意するけど一向にやめないのだ。

いつも仲間とつるんで飯を食べていたAは、たまには一人で食べようと、
近くのファミレスに入った。Aは窓際の席に座った。
ウエイトレスが来て水の入ったコップをAの前に置いた。
そしてAの向い側にも置いた。誰もいないのに。

Aは「あれ?」と思った。
「もしかしたらここに先に誰か座ってたのかも。
それかウエイトレスが単に間違えたんだ。
誰か来たらそのときどけばいいさ。」
ウエイトレスがオーダーを取りに来た。

Aはナポリタンを注文した。
店には他の客はいなくなってしまったので、
Aはやっぱり水はウエイトレスの間違いだと思った。
しばらくしてナポリタンがAの前に置かれた。
そしてAの向い側にも‥。

Aは激怒してウエイトレスに言った。
「なんでオレ一人しかいないのに、2つも出すんだ!?」
ウエイトレスはびっくりして
「あれ?さっきは二人いたのに。」
レジにいた店員もAと入って来たのは二人だったと言う。
Aは非常に憤慨して店を出てしまった。
ChatGPT Image 2025年4月20日 09_59_14


245 名前:nanasi 投稿日:2001/03/11(日) 16:32
Aは怒りつつも自分がいつもやっている
いたづらをやり返されたようで、
もうこんなたちの悪いことは止めようと心に決めた。
しかし、それが始まりだった。

Aが店に入ると今度は店員の方が必ず一人多く間違えるのだ。
それは、始めての店でも、旅行先の店でも、
誰と行っても。満員電車の中にもかかわらず、
Aの前だけ一人分空くようにもなった。
「もう一人の誰かがオレについてくる‥」
Aは外にでられなくなった。ノイローゼ気味になり、体重も減り、
別人のようになってしまった。

数カ月もAはその生活を続けていた。外にでられない、という事ではなく、
「もうひとりの誰か」と接しないという生活である。
Aはこんなに時間がたったんだから、
もう「誰か」はどこかへ行ったかもしれないと思い、
久しぶりに外を歩いてみた。久しぶりの外は気持ちよかった。
Aはそのままレストランに入った。レストランの中はわりと人もいて、
明るい感じだった。

Aは普通の席はまだ少し抵抗があるので誰もいないカウンターに座った。
自分がなんでこんなことで悩んでいたんだろうと思わせるくらい
すがすがしい気持ちだった。
「いらっしゃいませ」
店員がカウンターのAの前に水を置いた。
そしてAの横にも、その横にも、
その横もその横もその横も水を置いたのだった‥‥!
おわり




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