幽霊を見た。それだけなら、見間違いで済む。
だが、同じものを別の人も見ていた。数分しか経っていないはずなのに、時計は15分進んでいた。自分と同じ顔をした何かが、こちらの反応を確かめるように話しかけてきた。
説明できないものが一つでも残ると、単なる勘違いでは片づけにくくなる。
ここでは、芸能人本人が番組や動画で語った体験、本人の体験として再現ドラマ化された話から、特に不気味さが残る10話を選んだ。なお、以下はそれぞれの体験談をもとに構成したもので、超常現象の存在を断定するものではない。

エレベーターの扉が開くと、廊下の奥に、ねずみ色の服を着た男が見えた。歩いているのではない。男は足から先に、何かに引き込まれるような動きで一室へ消えた。
不気味には思ったが、清掃員かもしれない。藤井は自分の部屋まで走り、急いで鍵を差し込んだ。ところが、何度試しても開かない。男が消えたのは、まさにその部屋だった。
藤井はフロントへ戻り、言いにくそうに切り出した。
「すみません、こんなこと言うの本当に恥ずかしいんですけど。7階の……」
部屋番号も、何を見たかも話していない。それでも係員は、すぐに「あっ、お客様、すみませんでした」と答えた。
フロントは、その先を聞こうとしなかった。
女は道路へ足を踏み出しかけては戻り、また渡ろうとしては戻る。同じ動きを何度も繰り返している。信号を待っているようには見えなかった。
「何? あの女の人」
運転していた友人は、前を見たまま答えた。
「え? 女の人なんていないよ」
その瞬間、松嶋は思い出した。10年前にも、まったく同じ交差点で、同じ光景を見ていた。
女は10年前と同じ場所で、今も道路を渡れずにいた。
しばらくして、今度は寺門の部屋に兄が泊まった。兄がテレビをつけたまま眠りかけると、年老いた手が頬をなでたという。怖いというより、優しい触れ方だった。兄は前日に墓参りをしていたため、二人は亡くなった祖母かもしれないと思い、そろって手を合わせた。
翌日、寺門と兄がマンションの近くを歩いていると、前から着物姿の女がやってきた。長い髪を垂らし、歩き方まで幽霊そのものに見える。寺門は思わず笑いながら、兄にこう言った。
「ザ・ユーレイだよ、あれじゃ」
すれ違う瞬間、女が寺門のほうを向いた。
「どうしてわかった?」
もし前の住人が戻ったら、部屋を明け渡す。青木はそう説明され、当時コンビを組んでいた松田大輔に止められても、安さにひかれて借りることにした。
本人の体験を映像化した再現ドラマでは、部屋に入ってから事故や人間関係の悪化が続く。ある夜、青木に電話をかけてきた姓名判断の先生が、話の途中で急に住んでいる部屋について尋ねた。そのとき、室内の電気が消えた。
暗闇の中で、電話の向こうの声が言った。
「そこに住んでいたら死ぬよ」
忠告が終わると、電気は戻った。青木はその部屋を出た。前の住人の家具だけは、そこに残った。
中務裕太も嫌な感じを覚えていたが、本編は何事もなく終わった。異変が起きたのは、緊張が解けたアンコールのMC中だった。
突然、衣装を後ろから強く引かれた。驚いて振り返っても、そこには誰もいない。楽屋へ戻って肩を見ると、手でつかんで引いたような赤い傷が残っていた。
メンバーは冗談だと思い、その日のライブ映像を確認した。映っていたのは、中務が何もない空間へ向かって、突然振り返る姿だけだった。
「途中に三つトンネルがある。二番目だけは気をつけて」
二番目のトンネルへ入ると、背後で「ガシャン!」と金属がぶつかるような音がした。振り返っても何もない。帰り道に同じトンネルを通ると、また背後で「ガシャン!」と鳴った。
逃げるようにペダルを踏んだ途端、自転車のチェーンが外れた。袴田は暗いトンネルの中でチェーンを直し、どうにか宿まで戻った。なぜか身体がひどく重かった。
宿に戻り、浴場へ向かった袴田を見た瞬間、共演者の顔色が変わった。
共演者には、十人ほどの落ち武者が袴田の背後に張り付くように立っているのが見えていたという。
誰もいない二階で、ドアが開く音がする。壁には血のようなシミが浮かび、市松人形の髪が伸び始めた。祖母は人形を二階の物置へしまい、その部屋を開けなくなった。
数年たっても壁のシミは消えず、二階の廊下を歩き回るような足音も続いた。ある日、ひとりで留守番をしていた中川が耐えきれずに「いい加減にしてよ!」と叫ぶと、足音は一度止まった。それでも、家から物音が消えることはなかった。
あまりに何度も起きるため、家族は物音がしても騒がなくなった。
「まただね」
男性用トイレへ入ると、洗面台に小さな人影がいた。おかっぱ頭で着物を着て、足元は下駄。真冬の深夜に、子どもが一人で手を洗っている。ヒデが「大丈夫?」と声をかけると、その子は白い歯を見せて笑った。
怖くなったヒデは、一番奥の個室へ入った。間もなく、カラン、コロンと下駄の音が近づいてくる。扉の前まで来たように聞こえたため、そっと開けたが、誰もいない。
急いで外へ出ようとすると、さっきの子どもが、また洗面台で手を洗っていた。ヒデがトイレを飛び出した直後、女性用トイレへ入っていた先輩の彼女も青ざめて出てきた。彼女も、おかっぱ頭で着物姿の子どもを見ていた。
二人には、ほんの2、3分の出来事に思えた。ところが、外で待っていた後輩はヒデを捜して男性用トイレまで見に行き、中に誰もいなかったと言う。車に残った先輩は十分に眠り、すっきりした顔をしていた。
時計は、約15分進んでいた。
身体が動かなくなると、玄関のほうから誰かが入ってきた。姿をはっきり見たわけではない。それでも、身長190センチほどの、帽子をかぶった黒ずくめの男だと分かった。男はベッドのそばに立ち、なだぎを上から下まで眺め続けた。
やがて男は、なだぎの右足をつかんで何度も強く引いた。なだぎが心の中で「やめて」と叫び続けると、男は手を止め、低い声で答えた。
「はい、わかりました」
翌朝、なだぎが昨夜のことを話すと、彼女は「ごめん、気づくのが遅くて」と謝った。彼女には男の姿が見えており、「そういうことはやめてあげて。出て行って」と頼んだという。男が答えた言葉も、なだぎが聞いたものと同じだった。
なだぎが右足を見ると、つかまれた部分だけが赤くなっていた。
「ただいま」
帰ってきたのは濱口だった。顔も声も同じなのに、彼女には中身だけが別のものに思えた。話しかけられても返事をせずにいると、それは部屋から消えた。
彼女は夢だったのかもしれないと思い、もう一度眠った。次に目を覚ましたときも身体は動かず、また玄関から濱口が入ってきた。
今度は「起きてや」「帰ってきたで」と、しつこく声をかけてくる。濱口の声に、ときどき低い別の声が混じった。彼女が無視を続けると、声が急に変わった。
「ああ、やっぱりバレたか」
それが消えたあと、本物の濱口が仕事から帰ってきた。彼女は青ざめた顔で、玄関に立つ濱口を見つめた。
「濱口君、本物?」
2.ABEMA TIMES「松嶋初音の一番やばい心霊体験」
3.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 第2シーズン #15」
4.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 夏の特別編2005」、放送内容の記録
5.マイナビニュース「GENERATIONS中務裕太、ライブ本番中の心霊体験」
6.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 第2シーズン #16」
7.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 夏の特別編2007」
8.マイナビニュース「ペナルティ・ヒデが初告白した心霊体験」
9.マイナビニュース「なだぎ武のホテルでの恐怖体験」
10.テレビ東京「ジャパンオカルトアーカイブ」番組情報、語りの記録
ヒデが見つからなかった15分の間、どこにいたのか。
濱口の顔をしていたものは、なぜ正体を見破られたと分かったのか。
どの話にも、答えは残されていない。
だが、起きた場所は特別な世界ではない。ホテルの廊下、交差点、トイレ、そして自分の家だ。
今夜、玄関で鍵の開く音がして「ただいま」と聞こえても、その声が本物だと、何で確かめればいいのだろう。

だが、同じものを別の人も見ていた。数分しか経っていないはずなのに、時計は15分進んでいた。自分と同じ顔をした何かが、こちらの反応を確かめるように話しかけてきた。
説明できないものが一つでも残ると、単なる勘違いでは片づけにくくなる。
ここでは、芸能人本人が番組や動画で語った体験、本人の体験として再現ドラマ化された話から、特に不気味さが残る10話を選んだ。なお、以下はそれぞれの体験談をもとに構成したもので、超常現象の存在を断定するものではない。

1.藤井隆「地方都市のホテル」
藤井隆が20代のころ、地方都市でテレビとラジオの仕事が続けて入った。テレビ収録を終えたあと、目が痛くなったため、ラジオ局へ向かう前に一度ホテルへ戻ることにした。エレベーターの扉が開くと、廊下の奥に、ねずみ色の服を着た男が見えた。歩いているのではない。男は足から先に、何かに引き込まれるような動きで一室へ消えた。
不気味には思ったが、清掃員かもしれない。藤井は自分の部屋まで走り、急いで鍵を差し込んだ。ところが、何度試しても開かない。男が消えたのは、まさにその部屋だった。
藤井はフロントへ戻り、言いにくそうに切り出した。
「すみません、こんなこと言うの本当に恥ずかしいんですけど。7階の……」
部屋番号も、何を見たかも話していない。それでも係員は、すぐに「あっ、お客様、すみませんでした」と答えた。
フロントは、その先を聞こうとしなかった。
2.松嶋初音「深夜の交差点」
深夜、松嶋初音は友人の車で自宅近くまで送ってもらっていた。助手席でスマートフォンを見ていた松嶋が、ふと顔を上げると、交差点の端に女が立っていた。女は道路へ足を踏み出しかけては戻り、また渡ろうとしては戻る。同じ動きを何度も繰り返している。信号を待っているようには見えなかった。
「何? あの女の人」
運転していた友人は、前を見たまま答えた。
「え? 女の人なんていないよ」
その瞬間、松嶋は思い出した。10年前にも、まったく同じ交差点で、同じ光景を見ていた。
女は10年前と同じ場所で、今も道路を渡れずにいた。
3.寺門ジモン「着物姿の女」
霊の存在をまったく信じていなかった寺門ジモンは、幽霊が出るという友人の部屋へ面白半分で泊まりに行った。その夜、風もないのに、一冊の本のページが勝手にめくれ始めた。しばらくして、今度は寺門の部屋に兄が泊まった。兄がテレビをつけたまま眠りかけると、年老いた手が頬をなでたという。怖いというより、優しい触れ方だった。兄は前日に墓参りをしていたため、二人は亡くなった祖母かもしれないと思い、そろって手を合わせた。
翌日、寺門と兄がマンションの近くを歩いていると、前から着物姿の女がやってきた。長い髪を垂らし、歩き方まで幽霊そのものに見える。寺門は思わず笑いながら、兄にこう言った。
「ザ・ユーレイだよ、あれじゃ」
すれ違う瞬間、女が寺門のほうを向いた。
「どうしてわかった?」
4.青木さやか「格安物件」
東京に出てきたばかりの青木さやかは、相場から考えられないほど安い部屋を紹介された。ただし、条件には理由があった。前の住人だった歯科技師が、家具も調度品も残したまま、突然行方をくらましていたのだ。もし前の住人が戻ったら、部屋を明け渡す。青木はそう説明され、当時コンビを組んでいた松田大輔に止められても、安さにひかれて借りることにした。
本人の体験を映像化した再現ドラマでは、部屋に入ってから事故や人間関係の悪化が続く。ある夜、青木に電話をかけてきた姓名判断の先生が、話の途中で急に住んでいる部屋について尋ねた。そのとき、室内の電気が消えた。
暗闇の中で、電話の向こうの声が言った。
「そこに住んでいたら死ぬよ」
忠告が終わると、電気は戻った。青木はその部屋を出た。前の住人の家具だけは、そこに残った。
5.GENERATIONS中務裕太「アリーナの異変」
GENERATIONSが初めてのアリーナツアーで訪れた会場には、以前から「あそこは気をつけたほうがいい」という話があった。先輩が大けがをしたり、体調を崩してステージに立てなくなったりすることが続いていたという。中務裕太も嫌な感じを覚えていたが、本編は何事もなく終わった。異変が起きたのは、緊張が解けたアンコールのMC中だった。
突然、衣装を後ろから強く引かれた。驚いて振り返っても、そこには誰もいない。楽屋へ戻って肩を見ると、手でつかんで引いたような赤い傷が残っていた。
メンバーは冗談だと思い、その日のライブ映像を確認した。映っていたのは、中務が何もない空間へ向かって、突然振り返る姿だけだった。
6.袴田吉彦「二番目のトンネル」
地方でドラマの撮影をしていた袴田吉彦は、撮影隊が分宿する旅館の一つに泊まっていた。ある夜、別の旅館にいるスタッフのもとへ自転車で向かおうとすると、不思議なものが見えると聞いていた共演者に呼び止められた。「途中に三つトンネルがある。二番目だけは気をつけて」
二番目のトンネルへ入ると、背後で「ガシャン!」と金属がぶつかるような音がした。振り返っても何もない。帰り道に同じトンネルを通ると、また背後で「ガシャン!」と鳴った。
逃げるようにペダルを踏んだ途端、自転車のチェーンが外れた。袴田は暗いトンネルの中でチェーンを直し、どうにか宿まで戻った。なぜか身体がひどく重かった。
宿に戻り、浴場へ向かった袴田を見た瞬間、共演者の顔色が変わった。
共演者には、十人ほどの落ち武者が袴田の背後に張り付くように立っているのが見えていたという。
7.中川翔子「古い一軒家」
中川翔子は子どものころ、母と祖母と古い一軒家に住んでいた。父を亡くしたころから、家の中で奇妙なことが続くようになったという。誰もいない二階で、ドアが開く音がする。壁には血のようなシミが浮かび、市松人形の髪が伸び始めた。祖母は人形を二階の物置へしまい、その部屋を開けなくなった。
数年たっても壁のシミは消えず、二階の廊下を歩き回るような足音も続いた。ある日、ひとりで留守番をしていた中川が耐えきれずに「いい加減にしてよ!」と叫ぶと、足音は一度止まった。それでも、家から物音が消えることはなかった。
あまりに何度も起きるため、家族は物音がしても騒がなくなった。
「まただね」
8.ペナルティ・ヒデ「深夜のサービスエリア」
ヒデが21歳のころ、仲間と車でスキー場へ向かう途中、深夜のサービスエリアに立ち寄った。人影はほとんどなく、運転していた先輩は車に残って仮眠を取った。男性用トイレへ入ると、洗面台に小さな人影がいた。おかっぱ頭で着物を着て、足元は下駄。真冬の深夜に、子どもが一人で手を洗っている。ヒデが「大丈夫?」と声をかけると、その子は白い歯を見せて笑った。
怖くなったヒデは、一番奥の個室へ入った。間もなく、カラン、コロンと下駄の音が近づいてくる。扉の前まで来たように聞こえたため、そっと開けたが、誰もいない。
急いで外へ出ようとすると、さっきの子どもが、また洗面台で手を洗っていた。ヒデがトイレを飛び出した直後、女性用トイレへ入っていた先輩の彼女も青ざめて出てきた。彼女も、おかっぱ頭で着物姿の子どもを見ていた。
二人には、ほんの2、3分の出来事に思えた。ところが、外で待っていた後輩はヒデを捜して男性用トイレまで見に行き、中に誰もいなかったと言う。車に残った先輩は十分に眠り、すっきりした顔をしていた。
時計は、約15分進んでいた。
9.なだぎ武「赤坂のホテル」
なだぎ武は、当時付き合っていた女性と赤坂のホテルに泊まった。部屋へ入ったときから嫌な感じがあり、眠ろうとすると金縛りの前触れが来た。身体が動かなくなると、玄関のほうから誰かが入ってきた。姿をはっきり見たわけではない。それでも、身長190センチほどの、帽子をかぶった黒ずくめの男だと分かった。男はベッドのそばに立ち、なだぎを上から下まで眺め続けた。
やがて男は、なだぎの右足をつかんで何度も強く引いた。なだぎが心の中で「やめて」と叫び続けると、男は手を止め、低い声で答えた。
「はい、わかりました」
翌朝、なだぎが昨夜のことを話すと、彼女は「ごめん、気づくのが遅くて」と謝った。彼女には男の姿が見えており、「そういうことはやめてあげて。出て行って」と頼んだという。男が答えた言葉も、なだぎが聞いたものと同じだった。
なだぎが右足を見ると、つかまれた部分だけが赤くなっていた。
10.濱口優「留守番をしていた彼女」
濱口優が20代のころ、霊感の強い女性と付き合っていた。ある朝、濱口は彼女を自宅に残して仕事へ出かけた。しばらくして彼女が金縛りに遭うと、玄関の鍵が開く音がした。「ただいま」
帰ってきたのは濱口だった。顔も声も同じなのに、彼女には中身だけが別のものに思えた。話しかけられても返事をせずにいると、それは部屋から消えた。
彼女は夢だったのかもしれないと思い、もう一度眠った。次に目を覚ましたときも身体は動かず、また玄関から濱口が入ってきた。
今度は「起きてや」「帰ってきたで」と、しつこく声をかけてくる。濱口の声に、ときどき低い別の声が混じった。彼女が無視を続けると、声が急に変わった。
「ああ、やっぱりバレたか」
それが消えたあと、本物の濱口が仕事から帰ってきた。彼女は青ざめた顔で、玄関に立つ濱口を見つめた。
「濱口君、本物?」
主な出典
1.マイナビニュース「藤井隆、地方ホテルでの恐怖体験」2.ABEMA TIMES「松嶋初音の一番やばい心霊体験」
3.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 第2シーズン #15」
4.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 夏の特別編2005」、放送内容の記録
5.マイナビニュース「GENERATIONS中務裕太、ライブ本番中の心霊体験」
6.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 第2シーズン #16」
7.フジテレビ「ほんとにあった怖い話 夏の特別編2007」
8.マイナビニュース「ペナルティ・ヒデが初告白した心霊体験」
9.マイナビニュース「なだぎ武のホテルでの恐怖体験」
10.テレビ東京「ジャパンオカルトアーカイブ」番組情報、語りの記録
本物かどうか、何で確かめるのか
男が消えたホテルの部屋で、何があったのか。ヒデが見つからなかった15分の間、どこにいたのか。
濱口の顔をしていたものは、なぜ正体を見破られたと分かったのか。
どの話にも、答えは残されていない。
だが、起きた場所は特別な世界ではない。ホテルの廊下、交差点、トイレ、そして自分の家だ。
今夜、玄関で鍵の開く音がして「ただいま」と聞こえても、その声が本物だと、何で確かめればいいのだろう。

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