夜明け前の八代海に、誰が灯したのか分からない火が揺れる。

ひとつの光が、海の上で横へ伸びる。いくつにも分かれ、揺れ、やがて消える。

熊本に伝わる怪火「不知火」。

「知らぬ火」と書くその名前は、日本書紀に残る景行天皇の伝承にまでさかのぼる。

現在では、蜃気楼現象の一種と考えられている。けれど、それだけで終わらせるには少し惜しい。

なぜ八代海なのか。
なぜ旧暦八朔なのか。
なぜ人は、その火を長いあいだ語ってきたのか。

不知火には、科学だけでは切り取れない土地の記憶が残っている。
ChatGPT Image 2026年7月4日 09_40_16
続きを読む